消音器を使った練習での注意点

自宅練習をするときに、日本の住宅環境から消音器を使って練習する方は、多いと思います。

 

集合住宅に住んでいる方は、音に対して隣近所から苦情が来てしまったら大変ですし、また一軒家に住んでいる方でも、家族への配慮や遅い時間帯でないと練習時間が取れない場合は、消音器を使って練習することと思います。

 

自宅練習を自由にしてくれるという意味では、消音器はかなりなメリットをもたらしてくれます。

 

しかし、最近レッスンをしていてどうにも気になることがあったので、今回のブログは、表題に挙げた注意点について書こうと思います。

 

ズバリ!

消音器を練習で常時使用している方について、一番気になることは、

 

恐る恐る弾いている

 

ことです。

常識的な方として、常日頃から

 

自分の練習が、周りに迷惑をかけていないか?

 

と気にしながら練習しているので、その気持ちの在り方が「普通」になってしまい、

当教室のレッスン室で弾くときでも、どうにも遠慮がちな弾き方になってしまっているのです。

 

「もっと弦に弓を吸いつけて、しっかり音を出してください」とアドヴァイスしても、

誰しも気持ちや体の使い方の急転換は難しいので、か弱い音のままになってしまいがちです。

 

また、それだけではなく、消音器ありきの小さな音に耳が慣れてしまっているので、

レッスン時に生音を出したときに、自分の音が妙に大きいと錯覚してしまい、音量にびっくりしてしまっている方も見受けられます。

実際の音量としては、オーケストラで言うところのpかmpぐらいで、ソロトーンとしては全然小さいのですが、耳元で聞く自分の音は、皆さん大きく感じてしまうようです。

 

さらに、消音器の音を小さくする機能が優秀であればあるほど、楽器本体の振動を止めてしまいます。

そうなると、「音=振動」を体感として感じにくくなってしまいます。

それに音を小さくすると、雑音が鳴っていても気が付かず、音がきれいであるかのように耳がごまかされてしまいます。

 

また、写真のように、弓の当たり方が自分からよく見えなくなってしまうのも、初心者の方には苦しいことかもしれません。

 

以上、いろいろとデメリットを上げてしまいましたが、これらを解消するには、やはり生音で練習できる環境を作るしかないと思います。

それには、カラオケボックスで練習するのが最も手っ取り早いでしょう。

できれば、月に一度は生音で練習するといいと思います。

 

あとは、防音シートや吸音シートも対策の一つとして挙げられます。

効果のほどは、部屋の壁そのものにもよるかと思いますが、値段は、Amazonなどで3000円ぐらいからあるようです。

コロナ禍で、在宅勤務の方が増えている影響でラインナップも豊富ですね。

 

とはいえ、今の環境を急には代えられず、やっぱり消音器を使った練習をするしかない!

という方には、当教室でその練習方法をお伝えしました。

レッスンに通って下さる方に不公平になってしまいますので、ここで詳細は書けませんが、

ざっくりとだけ書くと、肩を大きく回したボーイング練習方法が効果的です。

これを鏡を見ながら、自分の姿勢をチェックしつつやるといいですね。

この練習方法をやっていただいた方数人には、明らかに音質、音量の違いがみられました。

 

消音器のおかげで、多くの人にヴァイオリンが習いやすくなったのは確かです。

これは本当にありがたいことだと思います。

しかし、その機能にだけ注目してしまうと、本来の目的である音を心から楽しむことからは遠ざかってしまいます。

使用される方には、上に挙げた注意点を踏まえつつ、例として挙げた対策を講じて練習することをお勧めします。